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「凝り固まつたやうに立つてゐる良秀」

Page Type Example
Example ID a0705
Author 芥川龍之介
Piece 「地獄変」
Reference 『芥川龍之介』
Pages in Reference 140

Text

その火の柱を前にして、凝り固まつたやうに立つてゐる良秀は、――何と云ふ不思議な事でございませう。あのさつきまで地獄の責苦に悩んでゐたやうな良秀は、今は云ひやうのない輝きを、さながら恍惚とした法悦の輝きを、皺だらけな満面に浮べながら、大殿様の御前も忘れたのか、両腕をしつかり胸に組んで、佇んでゐるではございませんか。

Context Focus Standard Context
凝り固まつた 立つてゐる 良秀

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 凝り固まる = 立つ 立つ=固まる

Grammar

Construction AようにB-C
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Source
B Target
C Target

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A ように B 様-類似-連体形
2 B - C 統語関係

Pragmatics

Category Effect
擬物法・結晶法 (hypostatization) 火災を見るのに夢中でその場を動けずにいる良秀の様子について、あたかも液体が凝固してしまったように完全な静止状態であったかのような印象を与える。
人物描写 (description of a character) 液体の凝固になぞらえて、火災を眺めるのに夢中な良秀の様子を描いている。