目次

「何か黒いものが、鞠のやうに躍りながら、車の中へとびこみました」

Page Type Example
Example ID a0702
Author 芥川龍之介
Piece 「地獄変」
Reference 『芥川龍之介』
Pages in Reference 139

Text

するとその夜風が又一渡り、御庭の木々の梢にさつと通ふ――と誰でも、思ひましたらう。さう云ふ音が暗い空を、どことも知らず走つたと思ふと、忽ち何か黒いものが、地にもつかず宙にも飛ばず、のやうに躍りながら、御所の屋根から火の燃えさかる車の中へ、一文字にとびこみました。

Context Focus Standard Context
何か黒いもの

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 まり = もの 物=まり

Grammar

Construction AがBのようにC
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source
C Elaboration

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A C が-主語
2 B の[ように] C の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
3 B [の]ように C 様-類似-連用形

Pragmatics

Category Effect
明晰 (clarity) 黒いものが軽やかに跳ねて御所に飛び込んでいく様子を、弾力をもって軽やかに跳ねる鞠を想起させて具体的にイメージさせる。