Page Type | Example |
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Example ID | a0701 |
Author | 芥川龍之介 |
Piece | 「地獄変」 |
Reference | 『芥川龍之介』 |
Pages in Reference | 138 |
「良秀のその時の顔つきは、今でも私は忘れません。思はず知らず車の方へ駆け寄らうとしたあの男は、火が燃え上ると同時に、足を止めて、やはり手をさし伸した儘、食ひ入るばかりの眼つきをして、車をつゝむ焔煙を吸ひつけられたやうに眺めて居りましたが、満身に浴びた火の光で、皺だらけな醜い顔は、髭の先までもよく見えます。」
Context | Focus | Standard | Context |
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吸ひつけられた | 眺めた |
Lexical Slots | Conceptual Domain |
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A | Elaboration |
B | Elaboration |
C | Source |
D | Target |
Preceding | Morpheme | Following | Usage | |
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1 | A | は | D | は-既出のものに関する判断の主題 |
2 | B | を | D | を-目的・目標(他動詞) |
3 | C | ように | D | 様-類似-連用形 |
Category | Effect |
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人物描写 (description of a character) | 良秀が火に魅せられ、火災の情景をじっと見つめていることを、吸引性を表す「吸いつける」という動詞を引き合いに出すことで、火へと心理的に吸引される良秀の様子を表現する。 |
擬物法・結晶法 (hypostatization) | 火災の炎に魅せられた良秀が、あたかも物理的にその炎の方に引きつけられたかのような印象を与える。 |