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「私どもが、魂も消えるばかりに思つた」

Page Type Example
Example ID a0688
Author 芥川龍之介
Piece 「地獄変」
Reference 『芥川龍之介』
Pages in Reference 86

Text

が、その数多い御逸事の中でも、今では御家の重宝になつて居ります地獄変の屏風の由来程、恐ろしい話はございますまい。日頃は物に御騒ぎにならない大殿様でさへ、あの時ばかりは、流石(さすが)に御驚きになつたやうでございました。まして御側に仕へてゐた私どもが、魂も消えるばかりに思つたのは、申し上げるまでもございません。

Context Focus Standard Context
魂も消える (思つた)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A B が-主語
2 B ばかり[に思った] ばかり-いまにも〜しようとする状態
3 B [ばかり]に[思った] に-変化・帰着させる状態
4 B [ばかりに]思っ[た] 思う(おもう)
5 B [ばかりに思っ]た た-過去-連体形

Pragmatics

Category Effect
誇張法 (hyperbole) 人間の根本である魂が消失するほどの心理的衝撃であることを表示することで、当該の状況で感じる恐怖の極大性を表現する。
心理描写 (psychological-description) 魂の消失という非現実的な出来事を引き合いに出すことで、側に仕える際に抱いた感情が描かれている。