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「お前さんは真先に私の肥料になったんだねえ」

Page Type Example
Example ID a0489
Author 谷崎潤一郎
Piece 「刺青」
Reference 『谷崎潤一郎』
Pages in Reference 22

Text

『この絵は刺青と一緒にお前にやるから、其れを持ってもう帰るがいい』 こう云って清吉は巻物を女の前にさし置いた。 『親方、私はもう今迄のような臆病な心を、さらりと捨ててしまいました。―――お前さんは真先に私の肥料(こやし)になったんだねえ』 と、女は剣(つるぎ)のような瞳を輝かした。その耳には凱歌の声がひびいて居た。

Context Focus Standard Context
お前さんは真先に私の 肥料 (成長の糧) になった

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 肥やし = 引き立て役 シテ=肥料

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
明晰 (clarity) 「私」と「お前さん」との関係を「植物」と「肥料」の関係になぞらえて、わかりやすく描写している。
人物描写 (description of a character) 「私」にとって「お前さんたち」は生身の人間ではなく、自らの成長のための単なる道具・材料であるという認識が表現される。
露骨語法・毒舌法 (dysphemism) 「私」にとって「お前さんたち」は生身の人間ではなく、自らの成長のための単なる道具・材料にすぎないという認識が提示されている。