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「蒼白い神経の枯木と化していた私」

Page Type Example
Example ID a0459
Author 坂口安吾
Piece 「村のひと騒ぎ」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 42

Text

東京で蒼白い神経の枯木と化していた私はゆくりなくこの出来事をきいて、思わず卒倒してしまうほど感激した。全く、こんな豊かな感激と緑なす生命に溢れた物語を私は知らない。私はこの話をききながら、私の心に爽やかな窓が展くのを知った。そして私は其の窓を通って、蒼空のやうな夢のさなかへ彷徨うてゆく私の心を眺めた。生きるということは、そして、大変な心痛のなかに生き通すということは、こんなふうに、楽しいことなのだ! そして、ハアリキンの服のように限りない色彩に掩はれているものである。

Context Focus Standard Context
蒼白い (無気力な) 神経の枯木

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 青白い = 弱々しい 不健全=白い

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
象徴・シンボル (symbol) 「蒼白い」という生命(感)の欠如を暗示する語を用いて人間を描くことで、「私」が感性の乏しい人間になってしまっていたことを表している。
アナロジー・類推 (analogy) 「枯木」であった「私」が出来事を聞くことで再び豊かな「緑」なす生命感に触れ、感激を覚えるという暗喩とも調和する。
人物描写 (description of a character) 「蒼白い」という生命(感)の欠如を暗示する語を用いて人間を描くことで、「私」が感性の乏しい人間になってしまっていたことを表している。