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「どこまで女らしいんだか奥行(おくゆき)がわからない」

Page Type Example
Example ID a0433
Author 夏目漱石
Piece 「坊っちゃん」
Reference 『夏目漱石』
Pages in Reference 87

Text

君大丈夫(だいじょうぶ)かいと赤シャツは念を押した。どこまでらしいんだか奥行(おくゆき)がわからない。文学士なんて、みんなあんな連中ならつまらんものだ。辻褄(つじつま)の合わない、論理に欠けた注文をして恬然(てんぜん)としている。しかもこのおれを疑ぐってる。憚(はばか)りながら男だ。受け合った事を裏へ廻って反古(ほご)にするようなさもしい了見(りょうけん)はもってるもんか。

Context Focus Standard Context
どこまで () らしいんだか

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 = 男=女

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A B は-既出のものに関する判断の主題
2 B らしい[んだかがわからない] らしい-ふさわしい-連体形
3 B [らしい]ん[だかがわからない] の-「〜のだ」
4 B [らしいん]だ[かがわからない] だ-断定・指定-終止形
5 B [らしいんだ]か[がわからない] か-推定
6 B [らしいんだか]が[わからない] が-対象語
7 B [らしいんだかが]わから[ない] 承知する(しょうちする)
8 B [らしいんだかがわから]ない ない-打消-終止形

Pragmatics

Category Effect
人物描写 (description of a character) 素直さが男性的資質であるとする発話者は、誠実さを欠く赤シャツに対して男性の対極である女性によって表象して、その欠如を表現する。
対照法・対照 (antithesis) 素直さが男性的資質であるとする発話者は、誠実さを欠く赤シャツに対して男性の対極である女性によって表象して、その欠如を表現する。それと同時に、約束を反故にしない自身の男性らしさを対比的に強調する。