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「かつての勇が何と惨(みじ)めにちっぽけなことか」

Page Type Example
Example ID a0405
Author 中島敦
Piece 「弟子」
Reference 『中島敦』
Pages in Reference 73

Text

子路は思わず顔を赧(あか)らめた。己の内なる小人を指摘された心地である。窮するも命なることを知り、大難に臨んでいささかの興奮の色も無い孔子の容(すがた)を見ては、大勇なる哉(かな)と嘆ぜざるを得ない。かつての自分の誇(ほこり)であった・白刃(はくじん)前(まえ)に接(まじ)わるも目まじろがざる底(てい)の勇が、何と惨(みじ)めにちっぽけなことかと思うのである。

Context Focus Standard Context
かつての…勇が ちっぽけな (粗末な)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 ちっぽけな = 粗末 粗=小-

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
心理描写 (psychological-description) 心の強さを具象物の規模に喩える。
人物描写 (description of a character) 孔子の言葉を聞いた子路が、師の偉大さを知るとともに己と比べて萎縮する様子を描いている。
明晰 (clarity) 心の強さを具象物の規模に喩えることで、分かりやすく表現している。