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「名を知らぬ禽(とり)が意味の分らぬ歌を投げ落したりした」

Page Type Example
Example ID a0376
Author 幸田露伴
Piece 「観画談」
Reference 『幸田露伴』
Pages in Reference 106

Text

恐ろしい大きな高い巌が前途(ゆくて)に横たわっていて、あのさきへ行くのか知らんと疑われるような覚束ない路を辿って行くと、辛うじてその岩岨(いわそば)に線のような道が付いていて、是非なくも蟻の如く蟹の如くになりながら通り過ぎてはホッと息を吐くこともあって、何だってこんな人にも行会わぬいわゆる僻地窮境に来たことかと、聊(いささ)か後悔する気味にもならざるを得ないで、薄暗いほどに茂った大樹の蔭に憩いながら明るくない心持の沈黙を続けていると、ヒーッ、頭の上から名を知らぬ禽(とり)が意味の分らぬ歌を投げ落したりした。

Context Focus Standard Context
歌を 投げ落し (上から聞こえ)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 落とす = 歌う 歌う=落とす

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
擬物法・結晶法 (hypostatization) 頭上から聞こえた鳥の鳴き声が、具体物のような手触りや重みのあるものとして捉えられている。
心理描写 (psychological-description) 鳥の声を聞いたとき、具体物が自分に向けて投げ落とされたかのように驚いたということが見てとれる。