目次

「往時(むかし)の感情(おもい)の遺した余影(かげ)が酒の上に時々浮ぶ」

Page Type Example
Example ID a0370
Author 幸田露伴
Piece 「太郎坊」
Reference 『幸田露伴』
Pages in Reference 23

Text

無かった縁に迷いは惹かぬつもりで、今日に満足して平穏に日を送っている。ただ往時(むかし)の感情(おもい)の遺した余影(かげ)が太郎坊の湛える酒の上に時々浮ぶというばかりだ。

Context Focus Standard Context
往時の感情の遺した 余影 (思い出)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 = 思い出 記念=陰

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
心理描写 (psychological-description) 酒の水面を、自分の心の状態であるという比喩的な意味合いで理解させる。
兼用法・異義兼用 (syllepsis) 感情は心的物体であり、心に影を落とすという慣用的な隠喩的認識が、「酒の上」の文脈によって、物理的な影の意味とあいまいであるように感じられる。