目次

「その眼は晴やかに澄んで見えた」

Page Type Example
Example ID a0367
Author 幸田露伴
Piece 「太郎坊」
Reference 『幸田露伴』
Pages in Reference 18

Text

主人もそれを見て無言になってしばしは何か考えたが、やがて快活な調子になって、『ハハハハハハ。』と笑い出した。その面上にははや不快の雲は名残無く吹き掃われて、その眼は晴やかに澄んで見えた。この僅少の間に主人はその心の傾きを一転したと見えた。

Context Focus Standard Context
その眼は 晴やかに (すがすがしく) 澄んで見えた

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 晴やか = 快い 快い=晴朗

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
縁語・縁装法 (-) 前節の「不快の雲」「吹き掃われて」を受け、雲に関連するイメージによる心理描写を展開する。
心理描写 (psychological-description) しかし、単に表情を描くのではなく、顔を空に、表情を天気に喩えることで、不快な様子から機嫌を取り戻すという気まぐれな変化を、雲が消えて晴れるという天気の気まぐれな変化として巧妙に描いている。
明晰 (clarity) 実際には見えないヒトの精神状態を、表情をもとに視覚情報として伝えている。