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「蝉の声が降るように聞こえて来る」

Page Type Example
Example ID a0313
Author 夢野久作
Piece 「いなか、の、じけん」
Reference 『夢野久作全集第1』
Pages in Reference 81

Text

しかし裏口から赤煉瓦の中へ這入ってみると、別荘の中はガランとしていて、人の気はいもなかった。ただ表の植込みから蝉の声が降るように聞こえて来るばかりなので、桃の刺青はチョッと張り合いが抜けた体であったが、そのうちに小松の蔭に吊してある、青塗りに金縁の籠を見付けると、又急に元気附いた。

Context Focus Standard Context
蝉の声が 降る 聞こえる

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 降る = 聞こえる きく=降る

Grammar

Construction AがBようにC
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Elaboration
B Source
C Target

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A C が-主語
2 B ように C 様-類似-連用形

Pragmatics

Category Effect
擬物法・結晶法 (hypostatization) 鳴き声という物体性を欠くものに対して「降る」という動詞を結合させることで、実体化する。
誇張法 (hyperbole) 「降る」という動詞の結合によって雨が降る際の水量や勢いを想起させ、蝉の鳴き声の勢いの強さ・大きさを際立たせる。
自然描写 (description of nature) 降る雨になぞらえることで、表から聞こえてくる蝉の鳴き声の様子を描いている。