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「西洋人のようにヒョロ長い女」

Page Type Example
Example ID a0306
Author 夢野久作
Piece 「いなか、の、じけん」
Reference 『夢野久作全集第1』
Pages in Reference 78

Text

奥さんは村の者の予期に反して別嬪でも何でもなかった。赤い毒々しい色の日傘の中に一パイになるくらい大きなハイカラ髪に結って、派手な浴衣に紫色の博多帯をグルグルと捲き附けたまま、反り身になって村中を歩いて行った。青白く痩せこけた上にコテコテとお化粧をした……鼻の頭がツンと上を向いた……眼の球のギョロギョロと大きい……年はいくつかわからない西洋人のようにヒョロ長い女であった。

Context Focus Standard Context
西洋人 奥さん のようにヒョロ長い

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 西洋人 = 奥さん 妻=アジア人

Grammar

Construction AのようにB-C
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Source
B Elaboration
C Target

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A の[ように] B の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
2 A [の]ように B 様-類似-連用形
3 B - C 統語関係

Pragmatics

Category Effect
明晰 (clarity) 「奥さん」のハイカラな格好をしている姿が村の雰囲気とそぐわず異質感を生み出している様子が、外国人という異国の存在を引き合いに出すことで具体的に想起される。
人物描写 (description of a character) 西洋人を引き合いに出すことによって、「奥さん」の体型を具体的に描く。
対照法・対照 (antithesis) 「奥さん」のハイカラな格好をしている姿が、村の雰囲気とそぐわず、異質感を生み出している。
誇張法 (hyperbole) 「奥さん」の異質感を外国人という異国の存在によって際立たせる。
古語・古語法 (archaism) 「西洋人」という呼び方に古めかしさが感じられる。