目次

「振袖人形がガックリと死んでしまった」

Page Type Example
Example ID a0267
Author 夢野久作
Piece 「いなか、の、じけん」
Reference 『夢野久作全集第1』
Pages in Reference 54

Text

そのうちに誰かが知らせたものと見えて、この家の若い主人が帰って来た。手足を泥だらけにした野良着のままであったが、肩を聳やかして土間に這入るとイキナリ、人形をさし上げている爺さんの襟首に手をかけてグイと引いた。振袖人形がハッと仰天した。そうして次の瞬間にはガックリと死んでしまった

Context Focus Standard Context
振袖人形が 死んでしまった (崩れ落ちた)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 人間 > 人形 人間>人形
2 死ぬ > 止まる 死ぬ>止まる

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
明晰 (clarity) それまでは躍動感をもって動いていた人形が、ぱったりと動きを止めてしまった様子が、死ぬという活動の停止になぞらえて分かりやすく表現されている。
対照法・対照 (antithesis)

それまで人形に感じていた人間的な躍動感と雰囲気が失われ、単なる「もの」に戻ってしまったという印象を与える。 |

擬人法 (personification) 人形が「死」を経験する人間のように感じられる。
含意法 (implication) 人形を操る爺さんに異変が起こったことを、人形の動きを描写することによって間接的に表現している。