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「それじゃ赤シャツは腑抜(ふぬ)けの呆助(ほうすけ)だ」

Page Type Example
Example ID a0194
Author 夏目漱石
Piece 「坊っちゃん」
Reference 『夏目漱石』
Pages in Reference 146

Text

おれはまず冒頭(ぼうとう)としてマドンナ事件から説き出したが、山嵐は無論マドンナ事件はおれより詳しく知っている。おれが野芹川(のぜりがわ)の土手の話をして、あれは馬鹿野郎だと云ったら、山嵐は君はだれを捕(つら)まえても馬鹿呼よばわりをする。今日学校で自分の事を馬鹿と云ったじゃないか。自分が馬鹿なら、赤シャツは馬鹿じゃない。自分は赤シャツの同類じゃないと主張した。それじゃ赤シャツは腑抜(ふぬ)けの呆助(ほうすけ)だと云ったら、そうかもしれないと山嵐は大いに賛成した。

Context Focus Standard Context
腑抜けの呆助 (腑抜け)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
あだ名 (nickname) 「馬鹿」を言い換えるために、「腑抜け」という罵倒の表現を出している。
類音反復・類音語接近 (paronomasia) 「ふぬけ」のハ行音から「ほうすけ」を連想し、付け加えている。
脚韻 (end rhyme) 「ふぬけ」と「ほうすけ」の末尾の音を揃えることで滑稽なリズムが出ている。
当てこすり (innuendo) 「腑抜け」に「呆助」が重ねられることで、罵倒が強められている。