目次

「柱々に彫られた神像の顔も事の意外に目を瞠(みは)り」

Page Type Example
Example ID a0154
Author 中島敦
Piece 「夫婦」
Reference 『中島敦』
Pages in Reference 221

Text

過去十年間無敵を誇った女丈夫エビルが最も大事な恋喧嘩に惨敗を喫したのである。ア・バイの柱々に彫られた奇怪な神像の顔も事の意外に目を瞠(みは)り、天井の闇にぶら下って惰眠を貪っていた蝙蝠共も此の椿事に仰天して表へ飛び出した。

Context Focus Standard Context
柱々に彫られた奇怪な神像の顔も 目を瞠り ()

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 人間 = 偶像 偶像=人間

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
過大誇張 (auxesis) 無機物である神像が目を見開くという異常事態の提示により、エビルが敗北するという想定外の事態に対する一同の驚きの程度の極大さが感じられる。
擬人法 (personification) 非生物である神像ぬあたかも人間と同じような表情の変化を感じさせる。この表情の変化が、像に精神の働きがあるという印象を与える。