目次

「夥しい書籍が文字共の凄まじい呪いの声と共に落ちかかり」

Page Type Example
Example ID a0140
Author 中島敦
Piece 「文字禍」
Reference 『中島敦』
Pages in Reference 203

Text

夥しい書籍が――数百枚の重い粘土板が、文字共の凄まじい呪の声と共にこの讒謗者(ざんぼうしゃ)の上に落ちかかり、彼は無慙(むざん)にも圧死した。

Context Focus Standard Context
夥しい書籍が 文字共の凄まじい呪いの声 (書籍が崩れる音) と共に落ちかかり

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 = 轟音 響き=声

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
擬人法 (personification) 書物に刻まれた文字それぞれに一人の人間のような声があり、それらが一斉に恨みや憎しみのことばを発しながら、「彼」めがけて落ちてきたかのような印象を与える。そのような怨みことばを投げつけられるほどに、「彼」がそれまで書物に対して粗悪な扱いをしてきたことが窺える。
誇張法 (hyperbole) 書物に刻まれた文字が一斉に「彼」めがけて落ちてきたときの勢いや圧力が強く感じられる。