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「文字の霊の媚薬のごとき奸猾(かんかつ)な魔力のせい」

Page Type Example
Example ID a0137
Author 中島敦
Piece 「文字禍」
Reference 『中島敦』
Pages in Reference 196

Text

ナブ・アヘ・エリバ博士は、この男を、文字の精霊の犠牲者の第一に数えた。ただ、こうした外観の惨(みじ)めさにもかかわらず、この老人は、実に――全く羨(うらや)ましいほど――いつも幸福そうに見える。これが不審といえば、不審だったが、ナブ・アヘ・エリバは、それも文字の霊の媚薬(びやく)のごとき奸猾(かんかつ)な魔力のせいと見做(みな)した。

Context Focus Standard Context
媚薬 奸猾な魔力

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 媚薬 = 魔力 強=媚薬

Grammar

Construction AのBのごときC-D
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source
C Elaboration
D Elaboration

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A D の-性質・性格・状態
2 B の[ごとき] D の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
3 B [の]ごとき D ごとし-類似-連用形
4 C - D 統語関係

Pragmatics

Category Effect
誇張法 (hyperbole) 一般に男性にとって性欲は他の欲求よりも強く感じられるものであり、当該の文字が有する魅力がそれほど強いものであることがわかる。