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「人々が蟻ほどに小さく見えている」

Page Type Example
Example ID a0116
Author 幸田露伴
Piece 「観画談」
Reference 『幸田露伴』
Pages in Reference 131

Text

画は美わしい大江に臨んだ富麗の都の一部を描いたものであった。図の上半部を成している江の彼方には翠色悦ぶべき遠山が見えている、その手前には丘陵が起伏している、その間に層塔もあれば高閤もあり、黒ずんだ欝樹(うつじゅ)が蔽うた岨(そば)もあれば、明るい花に埋められた谷もあって、それからずっと岸の方は平らに開けて、酒楼の綺麗なのも幾戸かあり、士女老幼、騎馬の人、閑歩(かんぽ)の人、生計にいそしんでいる負販(ふはん)の人、種々雑多の人々がほどに小さく見えている。

Context Focus Standard Context
人々 ほどに小さく見えている

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 あり = 人間=はち

Grammar

Construction AがBほどにC-D
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source
C Elaboration
D Elaboration

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A C が-主語
2 B ほど[に] C ほど-比較する基準
3 B [ほど]に C だ-断定・指定-連用形
4 C - D 統語関係

Pragmatics

Category Effect
明晰 (clarity) 絵に描かれた人々の小ささが、小さい存在の代表である蟻を引き合いに出すことで、よりはっきりと感じられる。
象徴・シンボル (symbol) 小さいものの代表として蟻が選択されている。