目次

「常住不断の雨が降り通している中に自分が生涯が挿まれているものででもあるように降っている」

Page Type Example
Example ID a0086
Author 幸田露伴
Piece 「観画談」
Reference 『幸田露伴』
Pages in Reference 116

Text

雨は恐ろしく降っている。あたかも太古から尽未来際(じんみらいざい)まで大きな河の流が流れ通しているように雨は降り通していて、自分の生涯の中の或日に雨が降っているのではなくて、常住不断(じょうじゅうふだん)の雨が降り通している中に自分の短い生涯がちょっと挿まれているものででもあるように降っている。

Context Focus Standard Context
自分の生涯の中の或日に雨が降っているのではなくて、常住不断の雨が降り通している中に自分の短い生涯がちょっと挿まれている 降っている

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Source
B Target

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A でも[あるように] B でも-はなはだしい場合
2 A [でも]ある[ように] B ある(ある)
3 A [でもある]ように B 様-類似-連用形

Pragmatics

Category Effect
奇想 (conceit) 雨に対して、生涯の一点ではなく、自分の生涯が雨のなかの一点であるという逆転した関係を印象として提示する。それにより、激しく降り続ける雨をみることで歴史の永遠的な流れを想起していることを表す。
心理描写 (psychological-description) 「常住不断」という遠大な仏教的観念を持ち出すことによって、やまない雨に際して抱く絶望や諦念の感を際立たせている。