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「書物が夏の夕方に飛び交う蝙蝠のように宙へ舞上る」

Page Type Example
Example ID a0031
Author 芥川龍之介
Piece 「魔術」
Reference 『芥川龍之介』
Pages in Reference 236

Text

ミスラ君は後を振返って、壁側の書棚を眺めましたが、やがてその方へ手をさし伸ばして、招くように指を動かすと、今度は書棚に並んでいた書物が一冊ずつ動き出して、自然にテエブルの上まで飛んで来ました。そのまた飛び方が両方へ表紙を開いて、夏の夕方に飛び交う蝙蝠のように、ひらひらと宙へ舞上るのです。

Context Focus Standard Context
書物が 夏の夕方に飛び交う蝙蝠 のように、ひらひらと宙へ舞上る

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 こうもり = 書物 文献=針もぐら

Grammar

Construction AのようにB
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
B Source
C Elaboration

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 B の[ように] C の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
2 B [の]ように C 様-類似-連用形

Pragmatics

Category Effect
アナロジー・類推 (analogy) 魔術によって本が宙を飛ぶ様子を、開いた本の表紙を翼と見立てつつ、コウモリという飛翔能力を有する動物を結びあわせることで表現する。
活喩 (prosopopeia) 蝙蝠に喩えることで、本の「ひらひらと」した飛び方が生き物めいたものであることを表現する。