目次

「その憤怒たるやあたかも羞恥の情に似たるがごとし」

Page Type Example
Example ID a0021
Author 芥川龍之介
Piece 「開化の殺人」
Reference 『芥川龍之介』
Pages in Reference 227

Text

十一月×日、子爵は遂に明子と結婚式を挙げたり。予は予自身に対して、名状し難き憤怒を感ぜざるを得ず。その憤怒たるや、あたかも一度(ひとたび)遁走せし兵士が、自己の怯懦(きょうだ)に対して感ずる羞恥の情に似たるがごとし。

Context Focus Standard Context
一度(ひとたび)遁走せし兵士が、自己の怯懦(きょうだ)に対して感ずる羞恥の情 憤怒

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 羞恥 = 憤怒 怒り=廉恥

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A たる[や] たり-指定-連体形
2 A [たる]や undefined
3 あたかも ちょうど(ちょうど)
4 B に[似たるがごとし] に-動作・作用の対象
5 B [に]似[たるがごとし] 同じゅうする(おなじゅうする)
6 B [に似]たる[がごとし] 居る(いる)
7 B [に似たる]が[ごとし] が-格助詞「の」に同じ
8 B [に似たるが]ごとし 似寄り(により)

Pragmatics

Category Effect
アナロジー・類推 (analogy) 明子と子爵が結婚し、明子を想っていたにも関わらずどうすることもできなかった自身の姿を、戦場から逃げ出し、その自身の不甲斐なさを恥じる姿兵士の姿と類比的に表す。